優奈はぶつぶつと独り言を言い始める。
「大丈夫。確かに、正木くんも強い霊能力を持っているけど彼の場合は扱いきれていないし、こんな呪法の知識を持っていない」
「でも………」
「うん、そう。強い霊能力者とはそんなに滅多に会わないだろうに、正木くんだけじゃなくほかにもそういった人がいるってこと」
「でも、正木がわざと霊能力のこと隠してるってこともあるじゃない」
優奈は言いながらつらそうな顔をする。
信じたいし疑いたくない優奈の気持ちを深青はよくわかる。
「本当に大丈夫。彼はこの件には関係ないから」
「どうして、そんなこと言えるの?」
「彼にちょっと式神をつけておかしなことがないか監視してたんだ」
深青の言葉に優奈はぎょっとする。
さらりととてもすごいことを言った気がしたのだ。
「監視って………」
「別に盗聴器とか盗撮とかそんなんじゃないよ。式神は何かおかしなことがあれば報告するだけのものだから、普通に生活している範囲では私に報告は来ないもん」
深青はあせって説明するが、優奈はそれでもやっぱり思うところがあるようだ。
「とにかく、除霊をして呪法も解くから少し離れていて」
そういうと深青は化学室の中央に歩いていく。
優奈は邪魔にならないように壁際によって黙って見る。


