第1化学室の近くになるほど煙臭さがきつくなる。
まあ、今日のことだからすぐには消えないだろうが、鼻につく臭いだ。
優奈は片手で鼻を覆う。
歩いていると突然、じゃりじゃりと歩くたびに鳴り出す。
下を見るともうすでにここは燃えていたのか黒い煤のようなものが絨毯をひくように覆っている。
下を見ながら歩いていた優奈はいきなりぶつかる。
びっくりして前を見ると深青が突っ立っている。
「ごめん、優奈。手を離すよ。私の服の端を握ってて」
そういい終わるとすぐに優奈の手を離し、優奈の目では終えないぐらいの速さで深青は両手を動かす。
「はっ!」
深青は両手を広げる。
優奈には何も見えていないが深青の前には無数の霊が点在していた。
それも悪霊が………。
人への呪いは、同じように暗い思いをもつ悪霊を呼び寄せるのだ。
悪霊にとってはその場所がとても居心地のいい場所になるからである。
深青の印により、霊たちは飛ばされ消滅していく。
「やっぱり、ここで呪法が行われていたんだ」
深青の独白に優奈はちんぷんかんで頭には?マークが飛んでいた。
「なに? どうして?」
「優奈には見えないと思うけど、蒼い火の玉が8つ飛んでいるの」
「火の玉?」
卒倒しそうな優奈に深青はすぐにフォローを入れる。


