「こんなところから1人でなんて怖くて帰れないよ」
「だから、危険だって言ったのに………」
深青は大きくため息をつく。
いつもなら、何が来ても怖くないって感じの優奈だがどうも霊などオカルト関係は全く駄目なのである。
こういうところを見ると優奈も女の子なんだなと思う、というか、これしか女の子らしさをアピールするところがないのかもしれない。
深青は優奈の手を握る。
「手をつないで行こう。それだと、少しは怖さ半減できるでしょ」
いつもとは正反対である。
実際のところ、手を握ってもらっただけだけど優奈の怖さは減って少し気持ちも軽くなった。
「こういうことになると深青は強いよね。怖くないの?」
「別に、小さい頃から見慣れてるし。命を狙われることなんて小さい時は日常茶飯事だったからね。まあ、今は全くないけど」
優奈は昔のことを思い出す。
深青の命を狙う悪霊から深青を守るために深青のお父さんは亡くなったのだということを。
さらりと言ったけど、その中にはとてもつらく重いことが含まれていることを………。


