夜の学校は誰に聞いても薄気味悪いというけれど、深青と優奈はそれが本当だということを初めて実感した。
2人は校門を飛び越えて侵入する。
まだ教師が残っているのか職員室に灯りがついている。
それは2人にとって幸いだった。
大体の場所は閉まっているのだが職員玄関のみが開いている。
どこも開いていない場合は強行突破するつもりでいたので助かった。
「まず、どこを探す?」
職員玄関からこっそり入った優奈は深青に小さな声で聞く。
「とにかく、化学室かな。1番、痕跡残ってそうだからね」
「爆発したんだよ。残ってるかな?」
優奈はついっと深青の腕を掴む。
「たぶん、すぐに燃えてしまってたら化学室の結界も解かれてもっと燃え広がっていたはずだもん。………て、優奈、何?」
しがみついた手を見た後、優奈の顔を見る。
「やっぱさ、夜の学校って超不気味だよね。夜の学校って言ったら怪談じゃん。霊とか出てきたりすんのかな………」
深青はがっくりと肩を落とす。
その霊を探すために侵入したのに、優奈はあまりの怖さに頭から肝心なことが抜け落ちてしまったようだ。
「今からでも引き返す? 私はこのまま調べるけど………」
優奈のあまりの怖がりように深青は情けをかけるのだが、優奈は涙目でプルプルと首を振る。


