「お~い! そこの4人何してる。早く、校庭に避難しなさい」


見慣れない顔の若い男がこちらにゆっくりと向かってくる。


「はい!」


みゆきは元気よく返事をし、小走りで走っていく。


大也はあれ?と思いみゆきを呼び止める。


「お前、もう大丈夫なのか?」


大也に言われ、初めて自分のことに気づき、足を見る。


「そういえば………。さっきのでびっくりしちゃって治っちゃったみたい。あははは」


苦笑いするみゆきを見ながら大也もやれやれといった表情でゆっくりと歩いていく。


2人の様子を微笑ましく見ながら、その時優奈は校舎を見ている深青の様子に気づく。


「深青?」


びくっとしながら深青はゆっくりと優奈のほうを見る。


微かな憂いをおびた表情をしていた深青の表情がいつもの表情に変わる。


「あっ、ごめん」


舌を出しながら走ってくる深青に何かあったのだと本能的に感じ取る。


長年のつきあいだからこそ感じることができる強みだ。


「何かわかったの?」


いきなりの確信を突いた優奈の言葉にドキリとする深青。


隣にいた優奈は些細な深青の動きも見逃さなかった。


「今はいいわ。後で教えて。くれぐれも1人で突っ込まないこと! いいわね」


小走りで走りながら優奈は深青に釘をさす。


「はい………」


(優奈には隠し事できないな………)


小さく返事をしながら、心の中で深青は思った。