でも、それよりも深青は行方不明者のことが気になった。


(何もなければいいのだけど………)


深青はなぜかわからないがとてつもない不安が襲ってくる。


何か事件が起きているような不安。




何かが動きだし始めたような。







(少し、調べたほうがいいかもしれない)


深青は窓の外を見る。


とにかく、このまま何もせずにはいられない。


事件とか関係なくても調べることでそれが明らかになる。


はっきりさせるにはそれが1番だろう。


(一条………下の名前とかもいろいろ聞いたほうがよさそうね)


深青にまで言われうなだれている大也を尻目に深青はいろいろと考えを練る。




ただ、考えているだけなのだが、その様子を見た大也は深青が怒っているのではないかとびくびくする。




大也にとってみれば、長いつきあいのみゆきを怒らしてもなんともないのだが、深青を怒らすほうがどうしてかわからないが、罪悪感を味わう。


自分が本当に悪いことをした気分になるのだ。











行方不明者、一条香織。




この子の行方不明はこれから起こる事態へのただの序章に過ぎなかった。






(とにかく、帰りに優奈の家に寄ってこのこと話そう)


深青は着々とこれからの段取りを頭の中で決めていく。


その姿でさえ、大也には怒っているように見えた。