「だから、早く言え」


もったいぶるみゆきに大也はまたもやいらいらが再発。


「行方不明なんだって」


「はあ? あのさ、早く言えとは言ったが主語とかもろもろ抜けてるぞ。全く意味がわからん」


深青も口にはださないが同じ気持ちだった。


「だから! 私のクラスの一条さんって女の子」


「誰?」


「だから! もう!」


大也が聞き返すのでみゆきはキーッとなる。


「あのさ、よくわかるように順序よく話してくれない? その子がどうすれば行方不明ってことになるんだ?」


深青もコクコクと頷く。


深青にとっても興味深い話だ。


聞いておこうと思う。


「実はさ、入学してから1週間ぐらいは学校に来てたんだけど、ピタリと来なくなっちゃったの。クラスの子はみんなどうしたのかな? て、話してたんだけど、別に登校拒否とかなる感じのタイプじゃなかったし、みんなとも打ち解けていたし………。そしたら、さっき職員室で先生たちが話してるのを聞いちゃったのよ。行方不明だって!」


「まるで、どこかの話にでてくるようなストーリーだな」


大也は全く動じず答える。


それが、気に入らないのかみゆきはムッとする。


「信じてないでしょ。本当なんだって!」


みゆきは真剣な表情で大也に言う。