「如月?」
いきなり、黙り込んだ深青を心配して大也は肩をぽんとたたいて声をかける。
深青はにこっと笑い大也の顔を見る。
「ごめん。ちょっと、トリップしちゃった。いきなり、鈴のことを聞かれてもらった当時のこと思い出しちゃった」
深青は笑いながら舌をだす。
いつもの深青の姿に大也も安心して、いつものノリで話を始める。
「その鈴、もしかして好きなやつにもらったとか?」
一瞬の沈黙のあと、深青と大也は目を合わせどちらともなく笑い出す。
「まさかなあ、そんなわけないか」
「あははは。どうして、わかったの?」
お互い同時に発した会話だがその言葉に大也はぎょっとする。
「マジで………当たり?」
「うん。それもあってかな。私にとっては大事なものなんだよ。やっぱり………」
「初恋とか?」
「うん! 初恋っていうか、今まででそれしか恋ってしてないなあ」
何気なく言っている深青に大也は圧倒される。
内心、そんなことまで聞いていいのかというちょっとした戸惑いもあるようだ。
「ごめん………」