「夏川とは中学の時からの付き合い?」


大也のいきなりの質問に深青はぎょっとする。


「優奈? ううん、物心ついた時からかな。親同士が知り合いだったの。だから、昔からの知り合い。私たちも幼なじみみたいなもんかな」


「へえ………」


一緒に歩いていた大也の動きが急に止まる。


「どうしたの?」


突然のことで驚く深青だが、大也の表情を見て、その視線の先をたどる。




視線の先には道の溝の中からこちらを覗くように見ている霊の姿があった。


その霊と大也の視線はがっちりと合っている。


その霊は目が大きく丸っこい体をしている。


2つの目があるようだが、その中の1つはなぜか閉じている。


頭の先にはセンサーのようにピンと一本角のようなものが生えていて、霊が動くとその角のようなものもピンコピンコと揺れている。




深青は目を細める。


見る限り、低級な霊であまり害はないようだ。


霊気もあまり感じない。


確認をし、深青はまだ固まってる大也に全く見えていないように振舞う。


「正木くん! おーい」


大也の顔の前で、手を振る。


霊との間に入られたことで大也はハッと我に返った。


「どうしたの? いきなり、立ち止まって」


「あっ、ごめん。別に………」


「なになに? 何かいた?」


深青はわざとらしく聞く。