「そういえば、夏川は?」


「めずらしく、休み」


「休み? あいつが? どうして、また」


優奈の休みに大也はこれほどないというほど驚いていた。


この態度を見てたら、優奈はすごく怒ってただろうなと思いつつも深青は優奈が今日いないことに安心していた。


「熱。39度もあるらしいの。」


「あの夏川が熱? 病原菌もやっつけそうだけどな」


「さすがにそれは無理でしょ。それにしても正木くんの中での優奈ってどんな人物に見えてるの?」


「天下無敵」


大也は言い切る。


(優奈、もっとおしとやかにしたほうがいいよ)


大也の言葉に深青は心の中で優奈に言う。


その声は、もちろん優奈には届いていないが………。







「そういえばさ、こうやって2人でって初めてだよな」


「そうだね。いつも優奈や、みゆきちゃんがいたもんね」


深青はいつもわいわいとしながら登校する風景を浮かべる。




いつの間にか、4人で登校するのが日課になってしまっていることに深青は不思議な気持ちを持っていた。


別にこれと言った約束を毎日しているわけではないのだが、いつも駅で大也たちと合流して学校まで歩いていく。


それがもう当たり前になってしまっていた。