「それにしてもさ。相手のことが全くわからないと思わない?」
優奈の言葉に1点を見つめていた深青は振り向く。
「どういうこと?」
「だから、正木が本当は敵か………、それともただの何も関係のない人か………」
優奈の言うことも一理ある。
「敵かどうかはともかく、様子を見るほうがよさそうだね。正木くんの能力も兼ねて」
「本当に気をつけてよね! こういうことには私は力になれないんだから。それに、おじさんのことも忘れないでよ」
おじさん………。その言葉に深青は目を閉じる。
優奈のさすおじさんという言葉。
それは、深青の父のことをさしていた。
今は亡き父のことを………。
「わかってる………。危ないことは絶対しない。それに十分気をつけるから」
深青がそう言った時、ちょうど電車が入ってきた。


