深青が言った後、2人とも一瞬無言になった。
「え―――――! そんな理由? それだけ? それだけのことで選ばれちゃったの?」
覚醒の早かった優奈が深青の肩を持ちゆすりながら大興奮する。
「う、うん。2人ともってことはそういうことなんじゃないの?」
優奈に言いたかったことを全て言われた大也はそのことを聞き、愕然と肩を落とす。
どうも、2人とも全く気づいていなかったらしい。
「まあね、入学してすぐに名前も顔もよくわからない状態だもん。顔と名前が一致する人に入れるでしょ。普通」
みゆきが横からちゃちゃを入れる。
「そういうお前はなんで選ばれたんだよ。お前もいつもみたいに姉御肌見せてたからか?」
大也の言い方にカチンときたのかみゆきは大也の頭をなぐる。
「違うわよ。うちは担任が勝手に指名してきたのよ。はじめはあまりわからないだろうからって」
「お前はそういうの似あってるもんな。担任は見抜いてたんだろうよ」
「あんたね、そういう馬鹿にした言い方やめてくんない?」
「別に馬鹿にした覚えはないけどな」
「そういう言い方が馬鹿にしてるって言ってんの!」
初めはそれとない話だったのがいつの間にか2人して言い合いになってきた。
深青と優奈は2人を止めようと「まあまあ」と間に入る。
が、2人の言い合いはとめどなく、それよりもどんどんひどくなっていく。
そのうち、周りに何事かと思った他の生徒たちまで増えてくる始末。