「これってさ、私のおかげって結構あると思わない?」


合格発表を終え、帰路についている大也とみゆき。


ふと思い出したかのようにみゆきは大也に告げる。


「もう、いきなりおばさんに泣きながら頼まれたときは何事かと思ったわよ。まさか、受験する高校が偏差値の高い鈴白学園(すずしろがくえん)だとはね。そりゃ、おばさんも泣くわよ」


「うるさいなあ。受かったからいいだろ」


「そうはいうけど、もし落ちてたらどうするつもりだったのよ。成績も中より上を取ったことないんでしょ! おまけに、滑り止めは受けないとか言い出すし」


「学校なんて、一番家から近いところ選んだだけだろ」


「だから! それが無謀なの。そりゃ、みんな考えるけど自分の行けるレベルで一番近いところを選ぶでしょ。これで、わかったでしょ!あんたは、やればできるんだから、鈴白に入ったからにはこれからはちゃんと勉強しなさいよね。でないと、すぐに進級できなくなっちゃうわよ!」


口うるさく言うみゆきをハエを追い払うように大也は手を振ってほっていく。