「ハァ~。なんだって、私がクラス委員なの」


ため息をつきながら机につっぷす優奈。


「だって、投票で決まったんだもん。仕方ないじゃない」


冷静に隣の席から深青が返す。


「本当ならこれで帰れるのにこれから委員会なんて」


「毎日あるわけじゃないんだから、今日ぐらい、いいじゃない」


「でもさ、私がクラス委員ってガラ?」


「うーん、そうね。どっちかっていうと中学の時は自分勝手な行動してクラス委員の子を困らせてたほうだもんね」


机につけていた顔をくわっと上げて優奈は勢いよく席を立つ。


「そうなのよ! それなのよ。正反対のことしていた私がまとめるほうになんてできると思う?」


「まあ、なんとかなるよ」


深青は笑顔で軽く優奈の肩をぽんとたたく。








「夏川。そろそろ委員会行くか」


2人の席の間を大也が前から歩いてくる。


「もう、そんな時間?」


優奈はしぶしぶ鞄を持つ。


「正木くんも一緒だから大丈夫でしょ。私も委員会あるから終わったら昇降口で待ってるね」


「うん。じゃあ、後でね」


優奈と大也が教室を出たのを見届けて深青は席を立つ。


優奈たちクラス委員は学年の1組で会議が行われる。


他の委員たちが全学年で行うのに比べて、クラス委員は全学年ではなく各学年ごとで行われるのだ。


図書委員の深青は図書室へと向かう。


放課後らしく廊下を歩く深青の顔に夕日が射す。


夕日の先を見、深青は目を細めた。