1つの行動がどんな結果を生むのか、それは簡単にはわからない。


だけど明らかに強運を持つものにはどんなものもきっといい方向へと向くのだろう。








 入学式の一件の後、クラス中の注目を集めた優奈は、翌日登校してきた時からクラスの中心的な存在となった。


もちろん、彼女の性格が1番のことだろうが、クラスメイトからは友達というよりも姉さん的に見られている。


その証拠に女子のクラス委員に選ばれることとなった。


本人は嫌がっていたが、それもクラスから是非にと言われ断ることができなかった。


そのとばっちりだろうか、男子のクラス委員には同じく注目を浴びた大也が選ばれた。




 だが、優奈の場合はそれでよかったのだろう。


その1週間後、試験結果が貼り出され、優奈は学年一の成績だったのだ。


容姿も美しく頭もいいし、性格もはきはきしている。


それによってますます優奈は尊敬の眼差しを向けられた。


そんなふうに優奈はどんどん目立っていくが親友の深青はマイペースに図書委員の地位を獲得し、何事もなく平和に毎日を暮らしていた。




 図書委員は深青にとっては、やっと勝ち得た特権だった。


本を読むのが大好きな深青。


毎日でも書店に顔を出しても苦ではない。


むしろ、安心するのだ。


それほどの本好きな深青。


だけど、図書委員はひそかに人気の高い委員なのだ。


地味だが結構本好きの人間はいるもので、これまで中学校では1度たりとも深青は図書委員にはなれなかった。


それが、やっとの思いで図書委員になれた。


優奈の人気の横で自分にも少しはかけられた視線を感じることは図書委員に没頭する深青には全くなかった。