「おっ? なんだ? もう親睦を深めてるのか?」


30歳ぐらいのおそらく担任らしい男がクラスの雰囲気に驚きながら入ってきた。


「よーし、席につけ」


おのおの自己紹介をしていたがみんな一斉に席に着く。


まだ初日ということもあり席は出席番号順に決められていたが、偶然にも深青と優奈は隣同士になったのだ。


これも、やはり縁なのだろうか?


「みなさん、ご入学おめでとうございます。3組の担任の湯元文也(ゆもとふみや)です。受け持ち教科は数学。これから一年、よろしく」


(なんだか感じのよさそうな先生でよかった)


深青は担任の顔を見ながら内心ほっとした。


「もろもろのことは明日のホームルームで説明するので今日はすぐに終わるからな。で、明日は前から知ってると思うが実力考査があるから。範囲は春休みの宿題からでるのでちゃんと復習しておくように」


「えー!」


一斉にしてブーイングの嵐。


合格発表の日にその通知は受けていたがそれでもブーイングせずにはいられないらしい。


「まあ、落ち着け。いきなりの話じゃないだろ。とにかく明日に備えて勉強しておけよ。それで明日の朝は8時半には校門をくぐること。それ以降は遅刻とみなすので気をつけるように。授業はその5分後に始まるからなるべく早めに来ておくこと」


「先生! 明日は何時までですか?」


窓際に座っている男子が唐突に質問する。


「明日か? 通常通りだから、終わるのは3時50分だな。」


「うそだろ? 明日からもう午後も授業あるのかよ」


信じられないとばかりの騒ぎようだ。


みんな口には出さないが内心同じように思っていた。


「とにかく、明日から休まず登校してくるように。以上。後で質問がある人は個人的に先生のところに来るように。それじゃ、起立! 礼! 解散」