『お別れじゃないよ、綺羅。絶対にまた会えるから。会いにいくし。だから、泣かないで。泣いちゃダメ! ね?』


幼い少女は目の前で泣きじゃくる男の子を笑顔で元気づける。


だけど、男の子が泣き止むことはない。


少女は自分の首からペンダントをとり、彼の首へとかける。




男の子は自分にかけられたペンダントを握り、涙が流れる顔を少女へと向ける。


『深青?』


『あげる! 綺羅が泣かないようにお守り。だから、泣いちゃダメ。絶対に会えるよ。約束』


そう言って、深青は自分の小さな小指を指しだす。


それを見た綺羅も恐る恐る小指を出す。


深青は確認すると強引に綺羅の指に自分の指を絡ます。


『ゆ~びきりげんまん、うそついたらは~りせんぼんの~ます! ゆ~びきった!』


にこっと深青は笑顔を向ける。


『僕も………深青にあげる』


そう言って、綺羅は自分のポケットから小さな紙袋を出す。


『うわぁ。なに~? 開けていい?』


聞くまでもなく深青はすでに袋を開けかけていた。




ちりりん。ちりん。




中からはピンク色の鈴が軽やかで心地よい音色を奏でていた。


『かわいい~。ありがとう~』


深青は鈴を自分の目の高さまで掲げ、音を聞くために鳴らす。


自然と目を閉じ、音を聞いた後、深青は綺羅にとびっきりの笑顔を向けた。