「深青――――!」






大也がちょうど深青の肩に手を触れようとした刹那。




深青が向いている前方から手を振りながら優奈が大声で駆けてくるのが見てとれた。


「優奈」


深青は真後ろにいた大也には気づかず、優奈の元へと走っていく。




後少しで触れる距離は今では10メートルほどにもなっていた。


大也はあからさまにがっくしと肩を落とした。




大也にはかわいそうだが、みゆきはひとまず安心する。


(やばかった。だけど、安心はできないわ。如月さんが大也のことをこれっぽっちも思っていないことは確かだけど、いつどうなるかはわからない)


みゆきはぷるぷると唇をふるわし、声に出す。


「あ~、こんなことになるなら告白しておけばよかった………」


それはみゆきが今まで生きてきた中で一番後悔したことだった………。