深青は風に漂う髪を押さえながら大きな澄みきった空を見上げる。


「ピィ―――」


風に乗りながらゆっくりと光輝く小さな鳥が深青に向かって飛んでくる。


深青はにこりと微笑んで右手を伸ばす。


鳥はゆっくりと深青の指先へと止まった。


「ありがとう。初」


初は答えるように翼をばさばさと羽ばたかせる。


「綺羅はどうしてる? ………あなたが解放されていないということは何もなく元気にしてるわね。………これからもお願いね。綺羅のこと。………時が来るまで………」


深青は両手で初を包み込んで、3秒ほどたってから手を開いた。


そこには初の姿はなく光の粉が風に舞うように消えていった。






「本当は時が来ることがなければいいんだけど………」


そこには今までにないほどの悲痛にゆがめた深青の姿があった。