大也はゆっくりと深青たちのいる方を見た。




心に浮かんだ、ぽっかりとした温かい気持ち。


それが、何なのか大也は気づき始めていた。


凛として、本当は優しい彼女のずっと傍にいたい。




そう思う気持ち。


それだけで、すでに自分の気持ちは彼女へと向っていたことを。




いや、本当はあの時。




初めて力を使っているあの時、すでに自分は囚われていたのかもしれない。


あの紫の瞳に………。




大也は箍が取れたように自分の気持ちが軽くなっていることに気づく。


気持ちの軽さに、大也は満足そうに深青のほうを見つめた。


温かい想いとともに………。






 その大也の小さな変化をずっと傍にいたみゆきが気づかないはずがなく………。


みゆきは複雑な気持ちで大也の顔を見つめ続けた。






 各々の想いとは別に一連の事件は終わりを迎えた。




結局、警察と学校はなぜ爆発が起こったのかわからないまま時は過ぎていく。




証拠もなく、また呪術などという非化学的なことが行われたなどわかるはずもなく………。


最終的には何かしらの液体が空気に触れることによって摩擦が起き、発火したということで落ち着いた。




とにもかくにも時が過ぎていくにつれ、人々の中からこのことは薄れていくのだろう。