湯川を覆いつくした闇は薄れていき、見えなかった湯川の姿が見える。
湯川は今もなお、目を閉じ手を振り回している。
闇は消え、自分が助かっているのにそのことがわからないほど興奮していた。
優奈は深青を見る。
深青はまだ目を閉じている。
だが、深青が立つ地面に何かしらの陣のようなものが浮かびあがり光を放っている。
風が深青の髪をなびかせ、額にかかる前髪を微かに押し上げる。
前髪が上がったことにより、深青の額にも紋様が表れているのが確認できる。
深青は立てていた人差し指と中指をはずし、静かに両手を合わせる。
数秒の後、合わせた手から溢れるほどの光が飛び出し、形作られる。
赤く光る弓、神光弓(じんこうきゅう)が深青の手に納まったかと思うと深青はそれを陣の真ん中に突き刺す。
突き刺した途端に、無数の光の筋が地面より溢れ出すし、強い振動が地面にかかる。
遠方にはそれほどの影響はないだろうが、傍にいた優奈たちは思わず、地面に這いつくばった。


