「湯川健児。24歳。担当教科化学、生物、物理。優しく甘いマスクのために女子生徒のファンがただ今急増中。一条香織との関係は彼女が中学1年の時に家庭教師をしていたことがある。だが、付き合っていたという経緯はないため、彼女もファンの1人だと考えられる。湯川には同じ年の彼女がおり、来年に結婚するとのこと。以上」


優奈は手帳をパタリと閉じる。


「おい。なんだよ、女子生徒のファンが急増中って。それに、どうして1日でそんなに調べられるんだよ」


「あら、こんなの簡単じゃん。ちょちょいと調べればね」


大也の問いをさもおかしそうに優奈は答える。


「あのな………、1日そこらで、どうして個人的な付き合いまで調べられるんだよ。何か悪いこととかしてるんじゃないだろうな」


「それは………、企業秘密」


少しの間を挟んでいることがますますあやしさを増すのだが………、あえて、大也は聞き返さなかった。聞き返してもはぐらかされるからだと事前にわかっているということもあるので………。


「ありがと。優奈。…………一緒に居た理由はわかった………だけど、それじゃ一条さんが関係してるとか………深いところまではわからないね」


深青は考え込む。