(深青…………? まさか………気づいた? でも、そうだよね。普通、気づくよね。あんなに見られてたら………。確信はなくても、もしかしたらって………)
優奈は内心頷きながらも深青の動きを見逃さないように見つめる。
「そうだよ。優奈、正木くんに直接聞こう!」
ポンと手を叩き、1人で納得する深青。
だが、その言葉に優奈は焦る。
「いや、深青。そんな、本人に直接って大胆な。相手にも気持ちの流れってあるじゃん。だから………」
大也のもとへすぐにでも行こうとしている深青の体操服の袖を掴んで引き止める優奈。
「さっきから、何言ってんの? どうして、一条さんに見覚えがあるか聞くことが気持ちの流れとか関係あるの?」
「え? 一条さん?」
優奈はキョトンとした顔で深青を見る。
「そうだよ。さっきからその話してたじゃない」
「あ………、そっか。そうだね。あははははは」
笑うしかないといった風に優奈は笑ってごまかす。
「変なの。だって、やっぱり正木くんが狙われたのって何かに触れてしまったんだと思う。見てはいけないものを見てしまったとか………。本人にとってはなんともないことでも見られたものにはとても大切なこと。まだ、仮定の段階でしかないけどね。とにかく、今は1つでも情報が欲しいから」
「それもそうね。じゃあ、聞きに行こう! 早いほうがいいから」
「だから………、さっきから言ってるのに………。変な優奈」
今まで止めていた優奈の急変な態度に首を傾げながらも先を歩く優奈の後を深青は追いかけた。
一方、大也は自分をじっと見ながら歩いてくる優奈を先頭に来る深青たちに動揺していた。
もちろん、その動揺は深青の質問でかき消されるのだが………。


