信号は赤が点灯し、脇道から合流しようとしている車のライトが深青の顔を照らす。






「そんな風に正木くんのことを心配しているということだけで充分だと思いますよ。人と違う力を持っているというだけで子供を毛嫌いする親もたくさんいます。自分の子供なのにまるで化け物のように扱う人も。だから、それってすごく大切なことなんです。特に子供の頃に受けた傷は大人になっても覚えています。それがネックになって人として大切な部分が欠けてしまうこともある。そんなに自分を責めないでください。正木くんがあのようにまっすぐに生きていることはお母さんやみゆきちゃんのおかげだと思いますよ」


深青はゆっくりと大也母の顔を見、微笑む。


その光景を見て、優奈も頷く。


大也母は泣き笑いのような表情を浮かべる。


「そう思っていいかしら。本当に………大也は………。駄目ね。いい大人が高校生に諭されて。でも………、ありがとう」


『ありがとう』………その言葉の中に含まれた重みに深青は大也母の手の上に自分の手を重ねる。


「私はまだ、父ほどの力も器量もありませんが正木くんの力になりますから」


ただの気休めに聞こえるかもしれない。




だけど、深青は自分にできることはしようと決意する。




この温かい家族のために…………。


だれも、もう悲しませないために………。