「………ありがと。でも、本当に如月さんが言ってくれたように大也は思ってくれてたかな?」


「大丈夫! 自信持って。それに、正木くんの一生の相手になるんでしょ? ドンと、大きな心を持ってないと」


前半はいい。


だけど、深青の後半の言葉にみゆきは耳まで真っ赤にする。


「ち、違うよ。何言って。あいつはただの幼なじみ。ただの」


「え~? ただの幼なじみのことでそんなに一喜一憂しないよ~?」


深青のからかう言葉にみゆきは戸惑う。


(如月さんって、こんなキャラだった? 大人しいイメージしかなかったのに………。まさか、からかわれるなんて………)


思いもよらない光景にどう対処すればいいかみゆきも困る。


いつもなら、逆の立場の自分なだけに余計に………。


「でも、大変だよ~。能力者の彼を持つと………」


深青はポンとみゆきの肩を叩き、首を上下に動かし「うんうん」と頷く。


「だから、違うって」


みゆきは負けじと否定する。


とにかく、否定しなければいけないという思いが先行し、なぜこんなに否定しているのか、本当の意味を忘れかけている。


「大丈夫だよ。もっと自分に自信持って! ねっ?」


深青は両手でガッツポーズを作っている。


その姿を見て、みゆきは噴出す。


(大人しいかと思ってたらそんなことないし、ポワポワしてると思ってたら急にものすごくしっかりしてて………、その上、すごい能力を持っている………。本当に、掴みどころのない人)


いろいろな表情を見せる深青。


だけど、みゆきはこれが深青の全てだとは思えなかった。


まだまだ、自分にはわからない深青があるように思えたのだ。