「好きだからかな。好きだから、危険な目にはあわせたくない。巻き込ませるわけにはいかないの。それが、私の本当の想い。好きという気持ちよりも無事でいてくれるならそれでいいんだ」


その言葉はとても深く重い。


みゆきはおっとりとしている深青の中の真の強さをその時に感じたような気がした。


「でも………、彼に他に好きな人ができてたら悲しくない?」


「あはは。そうだね。実際、もういるだろうね。離れたのは小学生の時だったから。それに私は好きだったけど、彼の気持ちは違ってたかも。悲しい気持ちはもちろんあるよ。だけど、それよりも彼が幸せならそれでいい………。そう思っていても実際、会っちゃったら変わっちゃうかもね」


深青は苦笑いする。


「…………………」


みゆきはなんて言えばいいのかわからなくなる。


自分よりも大きくて超えられないような大きな壁が存在しているようだ。


自分の不安などとは次元の違う話。


「そんな顔しないで………。私は確かに正木くんの力のことをわかってあげられる。だけど、それだけが全てだとは思わないで。彼が今まであんな風に普通に成長していること、それは自分の力のことを知ってもわかってくれるみゆきちゃんの存在があったからだよ」


みゆきはハッと顔を上げる。




今まで幼なじみである自分が大也のことを1番わかっていると思っていた。


だけど、自分には絶対に理解してあげられないことを理解できる深青が現れたことによって自信がなくなってしまっていた。