人にはそれぞれ人生で何回かの分岐点がある。


それは人として生きるうえで逃げられない運命なのかもしれない………。





 その分岐点と言える日。



中学を卒業したばかりの正木大也(まさきだいや)は、まさに人生初めての分岐点を迎えていた。


周囲には中学の学生服を着た学生とその保護者が集まっている。



そんな中、大也は幼馴染の篠田(しのだ)みゆきと2人で張り出されるであろうその場所を見つめていた。



今日は、大也にとって初めて結果を求められる日だ。


この日に向けてこの1年間をささげてきたと言っても過言ではない。



高校受験。



なんとなくで生きてきた大也にとって受験というこの言葉はとても別世界のようなものである。


たぶん、隣にいるこのしっかりものの幼馴染がいなければ、それこそまだいつものようになんとなくで勉強もせずにこの日をむかえていたのだろう。