私には、妹がいます。
橋本紀衣、小学校についこのあいだ入学したばっかり。
紀衣は　生まれつき心臓が弱く、幼稚園のときには
病気が悪化してしまい、手術をするほどでした。

妹はとってもやさしくてすごく気のきく子だった。
・・・私とは　全く持って正反対。
私は橋本梨香　紀衣と同じく中学校に入学したばかり。
私は、常に「好かれる子」でいたかった。
だから、いつもいつも笑顔だった　　
でも・・
心から笑ったことは一度も無い。
小学校高学年くらいのときに　私ははじめて気がついた。
　　　私は、どんなにいい子になっても、両親の一番にだけは
　　　　　　　　　　　　　　　なれないってことに
　
「紀衣はいい子だね」「紀衣は可愛いね」「紀衣の将来には期待してるよ」
「梨香はしょうがない子だね」「梨香はもう少し優しくなれないの？」
「梨香は、紀衣をもっと見習いなさいよ」

もう　嫌ってほどに気がついてた。
私は、この家族のなかの、「いらない子」なんだってことを。


「お姉ちゃんなんだから」、って　お姉ちゃんだから何なの？
早く生まれてきたからってだけで　色々な事を我慢しなくちゃならない。
「いいお姉ちゃん」でいる生活には、もううんざり。

両親は、紀衣ばっかり褒める。
私は、良い行いをしても、妹が褒めてもらえたようなことをしても、
まだ　それ以上のことを求められる。
「親に好かれる子」でいようとがんばることにも、もう疲れちゃった。


私は、親に愛されない。
妹は、親に愛される。