「おいっ、ゆづ、時間!」


「えっ?あっ!」


千鶴ちゃんに声を掛けられて気付く。


今は、夏休み明けの学校1日目の朝なんだった…!


あ。

まだカバンの整理してない…。


リビングの時計を見ると7時半…。


電車に遅れちゃう。



「あー、まだカバン準備出来てねえじゃん。
貸せよ。ゆづがやるより俺の方が速い」


そう言うと千鶴ちゃんは
わたしとは比べ物にならないくらいの速さで
お弁当とか教材とかをカバンに詰めてくれる。


「ありがと〜」


「よっし、準備OK。行ってきまーす」



千鶴ちゃんに続いてわたしも家から出る。


千鶴ちゃんにとっては
小走りにもなってないんだろうけど
やっぱりわたしには速い。


朝ごはん食べた後だから
横腹痛くなっちゃう。



「千鶴ちゃん〜速い…」


「ゆづが遅いんだろ?
てゆーか、まだ俺のことそんな呼び方してんだな」


小走りをはや歩きにして、千鶴ちゃんはニヤッて顔でわたしを見る。



「千鶴ちゃんこそ、
わたしのこと、ゆづってまだ呼んでる」


わたしたちの呼び名は小さいときから変わってない。


わたしが、ゆづるだから、ゆづで
千鶴ちゃんはそのまま、ちづるちゃん。