「ただいま〜」
「あ、千鶴ちゃんおかえりぃ…」
家に入ると玄関に結弦がつっ立っていた。
「何ゆづ、おれが帰ってくるの待ってたのか?」
どんだけ高野のこと早く言いたいんだよ。
かわいいやつー。
なんて思っていると、結弦が口を開いた。
「あの、千鶴ちゃん、もう行き帰り一緒にするのやめたい…」
「は…?」
こいつは何を言ってんだ?
高野と付き合う報告じゃなくて?
「何で?何か理由あんの?」
「…だ、だって、こんな歳なのに、兄弟が行き帰り一緒って
いくら双子でもおかしいじゃん…。
し…しかも異性だし…」
結弦…嘘言ってる。
本当はそんなこと、全然思ってないだろ?
「何、今さら、んなこと気にし始めた訳?」
「い、今さらっていうか…ずっと前から思っててー…」
結弦はずっと俯いて、おれを見ない。
「お前、何嘘付いてんだよ。本当のこと言ってみろよ」
「本当って…い、意味わかんないよ…?」
何で本当のことを言わない?
何で隠したがる?
おれの頭で何かがキレた―。
「そんなにおれに言いたくないのかよ?」
「な、にが…?」
いきなり怒り出したおれに戸惑う結弦。
「お前、高野っていう奴と付き合い出したんだろ?
何で本当のこと言わねえんだよ。朝だって、勝手に先行きやがって。
お前、まじイライラするんだよ!」
おれ、今むちゃくちゃなこと言ってんな。
でも止めれなかった。
―だってこれがおれの本音なのだから。

