「亜恋ー!帰るよー!」

 私は、椎名亜恋-しいなあこ-
 16歳。
 
 「おーい!亜恋?」
 そう私を呼ぶ彼女は、渋谷花音-しぶやかのん-
 
 「あ、ごめ!ぼーっとしてた...帰ろー!」
 「まったく!亜恋ったら」

 私たちは、2人並んで道を歩いていた。
 「ねぇ、亜恋は彼氏つくらないの?」
 「だから、私は勇ちゃんに片思い中なの!」
 「でもさー、その勇ちゃん?って、もう11年も会ってないんでしょ?
 もう会えないんじゃないの?
 「ちょっとー!そんな夢のないこと言わないでよー」
 「だってうちらももう16歳だよ?
 そろそろその勇ちゃんも彼女つくったんじゃないの?」
 
 その言葉は、1番聞きたくない言葉。
 勇ちゃんの初めての彼女は私。
 勇ちゃんの初めてのキスは私。
 勇ちゃんの初めて......

 私は、勇ちゃんの全ての初めての女の子になりたい。
 
 そう思って、今まで過ごしてきた。


 「亜恋、じゃぁまた明日!」
 
 いつの間にか家に着いていた。
 「うん。じゃぁね!」
 そう言って花音と別れた。

 -ガチャッ-
 「ただいまー。って、誰もいないか」
 私は、15歳の頃から1人暮らしをしている。
 パパとママは結婚20年目で韓国に旅行に行ってる。
 20年経ってもラブラブってすごいよね!?
 だからあんまり家に帰ってこないの。

 うとうと...

 なんか眠くなって来ちゃった。
 そして、私は眠りについた。