『周囲を包囲され、逃げられない状態を諺で何と言いますか?』


「あ…?そんなの、袋のねずみに決まってんじゃ……」


「小林治郎!! 手を上げろ!!」


「…!警察だと…!?」



小林が振り返るよりも早く、特攻してきた警察官に彼は捕らえられた。

突き付けられていた酒瓶が床に落ちて、完全に砕け散った。


私は救急隊の手を振り払い、AKIの前に体を寄せた。



「…まさか、お前に助けられるとはな…」


『犯人が小林博士と結果が出た時点で、既に警察に通報していました』


「ハハハ…やっぱりお前は、立派な警察官だよ…」



ふと、腕時計を確認した。

残り時間、後3分程度か…。



「AKI…私はお前と出逢えて、本当に良かった…」


『ありがとうございます。僕も柊博士に出逢えて、本当に幸せでした』


「今まで散々苛めて…っ悪かったな…」


『気にしていません』


「そうか…なら、良かった…」



私は騒がしくなった実験室をぼんやりと眺めて、再びAKIに視線を戻した。



『博士、質問があります』


「最期の質問だな……言ってみろ、AKI」