「お前を造った大きな理由は、言うまでもなく電子警察官の試作品調査の為だ。限界寿命3日間の間の逮捕者数の合計、会話の記録、答えられなかった質問の根本的問題を調査する」


『博士、貴方は僕を造って後悔されているのですか?』


「イエスかノーで答えるとしたら、答えはイエスだ。私はお前の作成に、元々あまり乗り気ではなかった」


『では、博士は何故、僕を造られたのですか?』


「………………」



∞ループか、答えても答えても、答えが見えてこない恐ろしさは、こいつにも共用して存在しているのか?

私はAKIに言い聞かせた。



「お前を造ったのは、やはり間違いだったか…」


『博士にとって、それが間違いなのだとしたら、それは間違いなのでしょう』


「お前はどう思う」


『答えは同じです。博士にとって、それが間違いなのだとしたら、それは間違いなのでしょう』


「私はお前を造った事により、多くのデータを失った。逮捕者数とそのデータを足して2で割ると、損得は±0だ」


『博士、質問があります』


「…言え」


『もし、僕が消えてしまった場合、もう電子警察官は造られないのですか?』




私は床に散らばった書類に目をやった。

細かい数字や公式、電子構図が記された書類を。



「…作成に必要なデータファイルがウィルスによって壊された。もう、お前のような電子警察官は二度と造れないだろう」