小林はフィルターを解除した。

時間は掛かったが、これはもう仕方無い。



「後の処理は…お前の役目だ、AKI」


『はい、博士』


「ふぁあ~…俺はもう寝るぜ~柊~」


「あぁ、悪かったな起こして」


「良いってことよ~じゃあなぁ~」



小林は手を振りながら実験室を出ていった。

さぁ、作業に戻るぞ。

まずは剥き出しになった相手のソフトウェアを探る事からだ。



「AKI、相手の電子回路に侵入出来そうか?」


『お答えします。フィルターの解除により電子回路の潜入がスムーズに行われました』


「よし、ではそのまま相手の情報を搾り取れ。わかった情報は逃さず記録しろ」


『了承しました』




画面からAKIの姿が消えた。

私もデイバスドライバーの接続に移る。

少しでも相手にこちらの情報を渡す訳にはいかない。

なんとかこの場で食い止めなければ…。


壊さんばかりに打つキーを早める。

ウィルスに侵されたファイルを一つ残らず消去していく。

私の貴重な記録…AKIの今後の課題データが消えてしまう。

見ていて気持ちの良いものではない。


残念だが、こうするしか他がないのだ。