電子警察官が導入されてから、ハッカーの逮捕者が続出した。


無謀にも挑戦してくるハッカーも現れたが、AKIの前には歯が立たないようだな。

電子回路を通してウィルスを送り付ける馬鹿もいるが、自己処理機能を搭載したこいつには無駄な事だ。


その内AKIに対してハッキング行為をする奴も居なくなるだろう。



『博士、お知らせがあります』


「仕事はどうした?」


『その事についてです』



焦った表情のAKI。

こんな表情をするなんて珍しい……って、私がプログラミングしたのか。



「言ってみろ」


『ハッカーの数が減りました。凄いスピードでハッキング行為を中止しています』


「ふん…ようやく勝てないとわかったか…」



珈琲を飲みながらキーボードを打つ。

アップロードしたハッカーの情報を全て警察署に送った。



「…なんだ、不服そうだな」



ちらりと画面に目を移すと、不満げに眉間に眉を寄せるAKI。

そんな顔も出来るんだな…だいぶ感情表現に馴染んできたみたいだ。



『逮捕協力が出来なくなった場合、僕のいる定義がわかりません』


「なるほど、理解に苦しむってか。だったら休んでろ、挑戦者が現れるまで」


『了承しました』



私は最後にEnterを押すと、AKIの側から離れ仮眠をとった。




『おやすみなさい、博士』



私は黙って手を振った。