「AKIは主にハッキング行為に対して反応するプログラムを組み込まれています。我々人間が入れない電子空間で情報の持ち主のプライバシーを護り、ウィルスを消去させ、更にハッカーの居場所を特定し警察署に公開します」


「なるほど、だから電子警察官と言うのですね」


「平たく言えばそうなります。最も、あくまで彼はAIですので、逮捕協力をするだけで実際に犯人を捕まえるのは警察官の皆様です」



会場が笑いに包まれる。

今の言葉に何の笑える要素があったのかは不明だが、私の皮肉が冗談として伝わったのだろう。


「柊博士、私も何か彼に質問しても宜しいでしょうか?」

「どうぞ、お好きな質問をして頂いて構いませんよ。但し、それが彼に答えられる質問ならばの話ですが…」


司会者は興味津々といった様子でAKIに問いかけた。


「こんにちは、初めまして」


『初めまして』


「貴方は昨日、ハッカーを発見し逮捕協力に大きく貢献しました。その時のお気持ちは…?」


『逮捕者が出て、嬉しく思っております』


「そうですか~いやぁ、素晴らしい受け答えだ!」



笑顔で答えるAKIに気を良くした司会者は、その素晴らしさとやらを会場の皆に伝えた。


質問者が続出する中で、放置された私はプログラムされた答えを導き出すAKIを見て微笑んだ。



良かったな、AKI。

どうやらお前が気にしていた、"人々に気に入られる"警察官になれたみたいだぞ。