『博士、質問があります』


「本当に質問の多い奴だな…まぁ、今しか質問出来ないから仕方ないか…」


『博士、質問があります』


「わかったわかった、言ってみろ」


『人間は僕を気に入ってくれますか?』


「おかしな質問をするな。気に入るか気に入らないかは明日になるまで私にもわからん。気に入られようとする行動を何と言う」


『検索結果には媚びると出ました』


「そうだ。言い方は他にもあるだろうが、私が入力した単語はそれだからな。媚びるの意味を言ってみろ」


『人に気に入られようと機嫌をとる。へつらう。また、気に入られようと艶かしい態度をとる』


「ぶっこんだ辞書からの引用だな。お前はその単語についてどう思う」


『質問の意味が理解出来ません』


「理解出来ない筈はない筈だ。答えろ、お前は"媚びる"についてどう思う」


『質問の意味が理解出来ません』


「………もう一度だけ問う、お前は"媚びる"について、どう思うんだ」


『質問の意味が理解出来ません』



私のはその壊れたレコーダーのように繰り返す言葉に苛立った。

溜め息を吐いて椅子にもたれ掛かる。



『博士、質問があります』


「……言ってみろ」


『博士は私を苛めて、楽しいですか?』


「…答えは目に見えているだろう。虚しいだけだ」