私は、あれから10分くらい泣き続けた。

【はぁ、これから何処に行こう・・・】

家を出た私には、もう行く所が無い。

「何?行く所が無いの?」

私の後ろから、男の声がした。

【えっ…誰?】

相手の顔は暗くて、よく見えなかった。

「ん?俺?って俺しかいないかっ」

その人は、自分の言ったことに大笑いしている。

「ごめん、ごめん。俺は、桜波高校の2年 荒井 雅人(アライ マサト)
だよっ!君は?」

【えっ…えっと、板倉高校2年の稲葉 愛羅です…】

「ふーん。どうしてこんな所にいるのかな?」