彼女の両親の虐待はエスカレートしていった。
殴られたアザだけではなく、カッターなどで切られて血が出てくるという日が増えていった。
ある日、顔にもアザや切り傷ができた。
隠そうとしたが、隠しきれなかった。
学校に行き、傷だらけの私を真っ先に親友の架椰(かや)が見た。
架椰は唖然とし、驚いて言った。
「どうしたの、その傷!?」と。
心配を掛けられるのは嫌だったが、嬉しかった。
しかし、次の言葉に私は悲しんだ。
「…夜羅ちゃん、喧嘩でもして、殴りあいでもしたの?いつから不良みたいになったの?」と。
彼女が別人のような態度をしだした。
「いい子ぶってて…。やっと本性だしたね。ほら、みんな!!やっぱりこいつ、化けの皮を被ってたよ!」
その言い方は私が思っているいつもの架椰じゃないと思った。
その時、気がついた。
親友が親友じゃないことに…。
友達じゃなかったことに…。
言い返したかった。
違うと言いたかった。
でもそうすると、きっと両親からの虐待がみんなに知られてしまう。
それだけは避けたかった。
だから何も言えなかった。
クラスのみんなは架椰を親っていたため、夜羅を悪者扱いし始めた。
その場で泣きたかったけど、泣けなかった。
きっと、みんなにさらに悪者扱いされるに違いないと思い…。
私はその場に耐えられず、教室を出た。