───────次の朝。
朝とはいえ、時計の針は9時を回っていた。
窓に日の光が強く差す。
ベッドの上でボーッとしながら、昨日の出来事を思い返していた。
昨日は夢だったんじゃないかと。
私はすぐにテレビをつけた。
『…です。今日は傘を持って外出した方が良いでしょう。』
夕方から夜にかけて雨が降るらしい。
今日は15時から20時までバイトが入っている。
駅近くのカフェで働き始めたばかりだ。
私は雨という単語に反応して、
「あ、傘。」
昨日貸してくれた傘をふと思い出した。
傘だてに入っている傘は、昨日の出来事が嘘ではないと物語らせている。
“今日もしかしたら会えるかもしれない”という期待と不安が入り交じりながら、私はバイトに行く準備をした。