「いいよっ!ミンウオッパがないじゃん!それにもう返せないよ?」
「じゃあ返してよ!」
なんだ…優しくないじゃん。
私は勘違いをしてたのかも。
素直にミンウに傘を返そうとすると、
「なんで?次会えば返せるじゃん。」
「でも私何もミンウオッパの連絡先も知らな…」
私の声を遮るようにミンウオッパが言った。
「またどこかで会えるよ!
こうして会えたんだから。」
そこで電話のコール音が鳴った。
「ヨボセヨ?クレ~!ウェ?チンチャ!? オットカジ…?ア~…ウン、ウン。」
(※もしもし?そう~!何?本当!?どうしよう…?あ~…うん、うん。)
ピッ…
「あ~ごめんなサイ!
人を待たせているから先に行くよ!
ット ボァヨ!」
(※またね!)
雨の中彼は走って行ってしまった。
私はその後ろ姿がなくなるまで見つめていた。
残っているのは私と彼の傘。
雨が静かにアスファルトを打ちつける。
そう、君との出会いは
雨が降っていた────。