それから数日後。美雨は裕樹が出る試合の応援のためにグランドにいた。中学最後の大会だから裕くんも力の入れようが違う。



「頑張れ」や「いけいけ」など、様々な声が飛び交う。そんな中、美雨は裕樹やボールを目で追っていた。



【美雨、大丈夫?】
【うん】


 時々、隣にいる美樹ちゃんが心配して声をかけてくれる。




 試合が始まってもうすぐ20分。先点したのは裕くんが蹴ったボールだった。


 周りの声は聞こえないけれど、盛り上がり方は美雨にも伝わっていく。




「裕くんー、頑張れ」
「裕樹ー、よくやった」



 美樹ちゃんやお兄ちゃん、お母さん、美央さんがゴールを決めた裕くんに様々な声で伝える。



 あのゴール以降、ボールを蹴るけど全てのボールが外したり、止められたり、止めたりで両チーム共に得点は加算されずに終了した。