「へえー。高野先生がね」


 授業後、気分転換にと保健室へ。


「俺のこと信頼してくれてるのは嬉しいけど、ここまで信頼されると期待に応えられるか不安になるんだけど」
「仕方ないだろ。学習障がい(LD)や注意欠陥・多動性障がい(ADHD)とかの児童・生徒は普通学級で授業を受けるのが当たり前なのに、学校側は出来ることなら断りたいって思うだろ?」
「……変わらないんだよな。軽度の障がいのある子どもの教育はほぼ同じくらいの頃から始まってるのに、障がい者の教育は進んでも健常者の意識は……」
「ああ……変わらないんだ」







 補足:LD⇒字を書く・読む、話す・聞く、計算することなどのどれかの習得、使用に目立った障がいがあることをいう。平成11年に文部省(現文部科学省)が、「学習障がいとは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、または推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。学習障がいは、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障がいがあると推定されるが、視覚障がい、聴覚障がい、知的障がい、情緒障がいなどの障がいや、環境的な要因が直接の原因となるものではない」と定義している。
ADHD⇒幼児期に現れる発達障がいの一つ。不注意(物事に集中できない、忘れ物が多い)、多動性(落ち着きがない、じっとしていられない)、衝動性(突飛な行動を取る、順番を守れない)などを特徴とする。脳の器質的または機能的障がいが原因とされる。
(参考資料:Yahoo!辞書)