「……ここは勉強する場所ではないんだが」
「場所がないんだから仕方ないだろ」
「まあ……な」


 本を読んでいると相川先生に話しかけられた。


【美雨。高野先生は今年どうするか聞いたか?】
【受けるって。去年は免許更新で大学行ってて無理だったから】
「何の話?」
「後でな」
【そろそろ帰れよ。美雨】
【もう、そんな時間?】
【もうすぐ6時だ】
【うん。美樹ちゃんも駅まで来たみたいだし、また明日ね。先生、相川先生】
【またな】


 相川先生は手話で、先生は手を振ってくれていた。