それから木曜以外の放課後、毎日のように保健室で補習をしていた。補習のない木曜日も少しだけ保健室にいた。少しでもいいから放課後に先生に会えることを求めて。


【お待たせ。高野】
【大丈夫ですよ】

 あれから先生は手話を学んでいて、簡単なものなら手話で会話していた。相川先生と一緒に手話教室に通い始めた、と1ヶ月程前に聞いた。


「瑞輝、コーヒーいるか?」
「ああ」


 制服が夏服になって、もうすぐ夏休み。相川先生が入れてくれるコーヒーもアイスコーヒーになった。


【高野。夏休みの補習だけど、希望者のみだけど全員対象の補習があるからそれを別の日にやるけど、来るか?】
【はい】
【じゃあ、火曜と水曜の10時30分頃に保健室な】
【わかりました】