~瑞輝side~

「なんだ?忘れ物か?」

 保健室のドアを開けると零のそんなことが言う。


「なんだ。瑞輝か」
「零、コーヒー」
「ほら」

 コーヒーを飲みながら零に聞く。

「忘れ物って誰かいたのか?」
「ああ。高野美雨と邦枝裕樹だよ」
「あの二人か……。裕樹の弟、直樹は?」
「ああ、彼も居たな」
「というか、なんだとはなんだよ。幼なじみにむかって」
「瑞輝も俺が一つ上ってことを忘れんな」


 俺と零は生まれた時からの幼なじみ。お互いの母親が親友でずっと一緒に過ごしていた。


「そういやそうだったな。れーい」
「……からかってる?瑞輝」
「んなわけあるか。ごちそうさん」


 コーヒーを飲み干し、職員室に戻ることにした時、俺の携帯が鳴った。