不安だった。
焦ってた。


そんな状態だったから、


「ウチの大学、来月オープンキャンパスがあるんだけど、六花ちゃん来ない?」

「行きます!」


一週間ぶりの新杉さんとのデート。


あたしチョイスの映画館に向かう大通りで、何の気なしに言われた新杉さんからのお誘いに、あたしが間髪いれずに頷いたのは仕方の無いことだったと思う。


「別に無理して来る必要はないけど」

「行きます!」

「去年、僕も行ったけど、そんな大したことはしないよ?」

「でも行きます!」

「そっか、よかった」


にっこりと笑う新杉さんは、そんな新杉さんに見惚れて人とぶつかりそうになったあたしを、そっと自分のほうへと引き寄せる。