夏休みの恋人

淳一が、こちらに向き直った。

見たことがない程真剣な瞳で、俺を見た。


「………俺の、片想い」


ぽつりと聞き落としそうなくらい小さな声で呟いた淳一はしかし、挑むようで。



誰に?



俺?



何でそんな、さっきまでとは違う、強い瞳で俺を見るんだ?



淳一の視線にそれ以上耐えられず、何となく居心地が悪くなって、それを隠すためにわざと軽く俺は言った。


「おいおい淳一。そんなに睨むなよ。いくらオレが彼女欲しいっつっても、親友の彼女までとったりしねーよ」


わざと明るく笑って言うと、淳一ははっとしたように目を見開いた。

次いで、苦しそうに顔を歪める。


「淳一?」

「悪い……睨んでるつもりなかったんだった。ごめんな、慶」

「いやまあ、いいけど……」

「本当、ごめん……」



淳一の様子が変だ。



何でそんなにマジに謝ってんだ?



これって、恋わづらいってやつなのか?