ドクンッ・・・てなんだでだ?
あっ!きっとあまり女子と話したこともないし、名前を呼ばれたのも久しぶりだったからちょっとビックリしただけだ。それ以外の理由は無いだろう。

その後、クラスに放送のアナウンスが入り体育館へと移動した。
体育館へ行くときも外の桜をじっくりと見ることができた。そして佐久間と話しながら。
入学式が始まると何だか空気が重く感じた。そんな中、驚くことがあった。
「宣誓。新入生代表、佐久間千尋。」
「はい!!」
そう、新入生代表を務めたのは佐久間だったのだ。佐久間は緊張している素振りを見せずゆっくりと宣誓を読み始めた。
佐久間の声はとても穏やかで会場の空気が一瞬にして軽くなった気がした。
その後、入学式は無事に終わりクラスへと戻った。
隣の席を見ると佐久間と目が合った。
何か話さなければ・・・・・・・・・。
「佐久間って新入生代表であんな風にみんなの前で宣誓を読み上げて緊張とかしなかったの?」
僕の質問に佐久間は笑顔で答えてくれた。
「あははっ、緊張しないわけないじゃん。ホントはねすっご緊張してガチガチだったんだよ。でもね、若宮君のことを見たら緊張が解れたんだよ。」
「え?」
佐久間の言葉に疑問を感じた。だって、僕は何をしたわけでもないのだから。
「あのね、若宮君ってずっと舞台も見ないで自分の手元ばっかり見て緊張していたでしょ?それを見たらね緊張しているのは自分だけじゃないんだって思ったら自然と緊張はなくなっていたんだ。若宮君のおかげだよ。ありがとう。」
そう言って佐久間は僕に向日葵のようにまぶしい笑顔を僕に向けた。
ドクンッ・・・・・まただ。この胸の高鳴りは何なのだろうか。

その後、担任の話が終わり入学式は幕を閉じた。
家に戻って今日もらった教科書に名前を書いて、明日の予習をして眠りについた。


その日の夢は、佐久間と一緒に桜の木の下で2人お花見をした。という内容だった。