「・・・」
母は言葉を失った。ただ呆然と春香を見つめることしかできなかった。
娘がこんなにも自分の感情を露わにするのは今までに無い初めてのことだ。しかしそれはものすごく嬉しいことのようにも思えてくる。だがどうしたらいいのか母は分からずにいた。
そんな母を前に、春香はさらに強く唇を噛んだ。
春香自身も今の自分の言動に驚いている。人前、しかも母の前で怒りを爆発させて怒るだなんて・・・!こんなことをしたのは生まれて初めてかもしれない。
「じゃあ、好きにしなさい」
怒った風でもなく、納得したわけでもないような無機質な声で母は言うと、そっと部屋から出て行ってしまった。
母の足音が聞こえなくなると、春香はうなだれながらピアノのいすに座り込んだ。自分は母から捨てられてしまった、と春香は思った。とたんに頭の中が、まるで荷物を運び出された部屋のように空っぽになった。感情も気持ちも思考も何もかもが抜け切ってしまったような、そんな感じだ。
「空しい」と言うのは、きっとこのことを言うんだろうな。そう思った時、今まで貯めていた涙が一気に溢れ出してきた。
母は言葉を失った。ただ呆然と春香を見つめることしかできなかった。
娘がこんなにも自分の感情を露わにするのは今までに無い初めてのことだ。しかしそれはものすごく嬉しいことのようにも思えてくる。だがどうしたらいいのか母は分からずにいた。
そんな母を前に、春香はさらに強く唇を噛んだ。
春香自身も今の自分の言動に驚いている。人前、しかも母の前で怒りを爆発させて怒るだなんて・・・!こんなことをしたのは生まれて初めてかもしれない。
「じゃあ、好きにしなさい」
怒った風でもなく、納得したわけでもないような無機質な声で母は言うと、そっと部屋から出て行ってしまった。
母の足音が聞こえなくなると、春香はうなだれながらピアノのいすに座り込んだ。自分は母から捨てられてしまった、と春香は思った。とたんに頭の中が、まるで荷物を運び出された部屋のように空っぽになった。感情も気持ちも思考も何もかもが抜け切ってしまったような、そんな感じだ。
「空しい」と言うのは、きっとこのことを言うんだろうな。そう思った時、今まで貯めていた涙が一気に溢れ出してきた。

